グレアム指数 14.2
お宝感はないが、KUZEXというLINEによるECの伸びが気になる
今期の良さと来季予想の良さを受けて株価はもう圧倒的に高値を更新。
もしまだ割安感があると判断したとしても、ここから入るのか…と屈辱的な気持ちは拭えない。
まずは2Qの決算説明資料で雰囲気をつかむ。
パッと見て、キーとなるのは
リスクとして
・インバウンド特需の収束
・円安からのさらなる物価高騰
・物流の人手不足(2024年問題)
期待として
・海外での成長
・KUZEX
・人手不足の物流の需要による物流事業(?)の伸び
→四季報では物流キャパ限界、と。ここ最重要ポイント
インバウンドすごい。が、右下の一文が気になる。
予定していた修繕や投資の延期がある。つまりどの程度か不明だが3Q移行にマイナスに影響する。
高付加価値商品の販売強化とは?
コロナ禍で進めた損益分岐点の低減が奏効と。よくわからない。
営業利益はコロナ前よりも大幅増加。
ここがポイント。
円安インバウンドだけではない何かがあればよし、なければこの株価高騰はまた一瞬で下落してしまうだろう。
自己資本比率は改善傾向
コロナ禍が終わり、営業CF大幅増加、投資CFは前期は+だったが今期はーと投資している。
主に有形固定資産。6億円。拠点を増やしているのか。後で調べる。
修繕や投資は、物価高騰があるため様子をみていたようだ。
今後下がった際にできればよいが、この物価高騰、インフレとして動きつつあるのか、止まらないと踏んでいる。電気やガスなどはロシアウクライナが収束すれば落ち着くと思われるが、まだ続きそうな様相。
ここからは今後について
ざっくりしすぎな図だが、イメージはなんとなくつく。
2024年問題、DX、AI、人口減少、このあたりの影響をどう受けるか、どう対応するか。
DXはKUZEXが素晴らしい印象。人口減少も首都圏においてはあまり影響がないかもしれない。働き手の減少はある可能性はあるか。
人材、物流、DXへの投資。
この時代にEC事業拡大はMUST。当然。
KUZEXは有効そう。客もLINEなら簡単に意見できる。その意見を集約して、商品の配分や売上に繋げることもできそう。
KUZEXと物流。
・物流受託が堅調
・KUZEXの受注構成比向上 →どの程度か
・北米向けの輸出が堅調 →円安の影響ないか?
・中国事業が鈍化 →中国…人口多いのは変わらないので戦略としては必要か
・久世フレッシュワンと共同営業
成長戦略としては
・EC事業
・DX化
・海外事業
・グループシナジー
とある。
海外でうまくいく強みはあるのか、イメージがわかないが。
今のところは中国以外では伸びてきているようではある。
ここ重要
コロナから回復し、600億円の売上まで達した後、成長がなくなる懸念。
街中の外食の混み具合をみると、感染を気にしているとは思えないのだが
このテイクアウト等のパーセンテージをあげてレストラン等外食のパーセンテージを下げるのは、悪手ではないか??
よくわからない。提案をプラスオンとは?
プラスオン=上乗せ
つまり?ECで肉を購入した人がいたとして、そこに「お供にワインはいかがですか?」と誘導するサイトのシステムを構築ということか。
これは効果あると思われる。大手のネットECサイトは関連商品載せたりは必ずやっている。必須レベルだろう。
スーパーでも、酒のつまみ系の商品の隣にビール置いておけば手に取るだろうになあと常に思っている。
経営者なら当然考えるがと思うが、あまり実装されていないことを考えるとスペースや冷蔵装置コスト等の理由で割に合わないのだと思われる。
これがEC,ネットならコストがかからず追加購入を促せるので、メリットは大きくデメリットがほぼない。誘導がしつこすぎたりしなければ大丈夫だろう。
この時のユーザー数は1350。もっと増やせるだろう。
どんどん力を入れるべきだ。
ECの懸念としては、客が購入した商品は必ず配送になるという点。
配送の人材、配送料等コストがかさむ。が、それらをこなす売上があれば良い。
昔より配送を利用する人も増えたように思う。
配送料の設定は重要になるだろう。まずは低価格で初めて、みんなその便利さでEC購入を手放せなくなった頃に価格を上げればよい。アマゾンプライムみたいに。
どうせしかたなく払う人が多いと思う。現代は「面倒臭い」をとことん嫌う世の中だ。
高齢者も増えるし(首都圏も?要調べ)
内閣府HPより
東京は人口減少は起きないとされているが、高齢者率は高まる。
つまり客層は高齢者が増えることとなる。
ネットに疎い高齢者でも簡単に使え、体力のない自分が歩かずとも商品を届けてくれるECであれば、需要が見込める。
いかに見やすく、簡単にするかが重要。
早めに取り組むことで、ライバル企業にECを利用したい高齢者層を取られずに囲うことができる。
KUZEXの使い勝手を体感するには実際にKUZEXを登録するのが一番。やってみるか。
→登録の仕方がわからなかった。
北米エリア拡大(超重要)
中国事業(超重要)
中国のトップがバカみたいな動きばかりするので中国要素は不安定だが、人口が多いために重要な扱いとなってしまう。チャイナリスク。
そして福島の処理水(向こうでは汚染水)問題で輸出が激減。インバウンドで来日する中国人は増えたが、輸出が大きく減った。
これは、再度増える算段で予想立ててないか?
まず、中国への輸出は売上のうちのどの程度を占めるのか
上が2022年で処理水前、下が2023年4月〜9月で処理水で中国輸出中止後
中国の日本からの水産物の輸入は7月から減少し、9月にはほぼ0となった。
中国、日本産水産物の輸入ほぼゼロに 処理水に反発する禁輸の影響で [福島第一原発の処理水問題]:朝日新聞デジタル
それを盛り込みつつも、2022年より海外での売上は良い。
それはコロナの影響が緩和された23年だから。それぞれの差し引きがあって程度の判断ができない。
1Q前の、処理水前と比較してみる
下が2023年4月〜6月30日までの数値。
海外は食材卸売が9.5億円。首都圏の101億円の10分の1。
セグメント比としてはこの程度だった。
海外売上は1Q9.5億円→2Q19.5億円、つまり3ヶ月で約倍になった。
首都圏は1Q100億円→2Q220億円。倍ちょっととなった。
中国の処理水海産物輸入停止は影響はあるものの、そこまで甚大ではないと予想される。
とりあえず大勢に影響はなく、上方修正の根拠としては無視してよいと考える。
優待はお米。いいね。
コロナで無配当だったが、
12円に復活。(その後の発表で2024年は42円。配当は15円へup。27円は特別配当)
この2024年の業績予想に対して下回るか上回るかは一時的な株価の動きとしてはかなり重要となる。
なぜここまで利益率を上げられる予想なのか、理由を理解しておくことが重要。
ここからは有価証券報告書を読んでいく
2024年問題の物流インフラについて
まず、物流委託会社への支払いコストが上がる可能性があると。
これに関しては、まず業績として物流受託が堅調と、あった。
他の物流を受けている分を自社で運べばよろしいが、そう考えている様子。
(→この会社での物流キャパ限界。規模拡大必要だが、そこもポイント。インバウンドに合わせるとその後余るので、短期の不足分は派遣系の利用が妥当か)
コロナ緩和から、ロシアウクライナ侵攻や円安で仕入れコストは上がっているが、集客面では改善。
物流費の抑制に努め、変化が著しい世の中で食の営業活動も工夫、対応したことが奏功したと。そんな感じで営業利益率が-2.1%から+1.5%に改善したと。
抽象的すぎて何をしたのかわからない。
今後のさらなる改善が期待できるのか、横ばいなのか、今回だけの改善でまた下がるのか、その辺が何もわからない。
決算説明資料にあったか?見直しておく。
業容拡大のために設備投資している。
食材卸売事業に1.1億円、食材製造事業に3.7億円。
横ばいや現状維持ではなく、業績拡大にむけて投資している。
海外事業にも関わってくるか。
子会社としては
ニュージーランドに食材製造設備が1つある。
従業員24名だそうだ。日本の製造工場は東京に1、静岡に1。それぞれ従業員は44人、84人。となるとニュージーランドの工場は日本の半分またはさらにその半分程度と小さい。
配当について
足下の状況として、コロナ禍が終わった一方でその2年で設備投資や修繕コストがあり内部留保が必要、要は金が必要と言っている。
配当性向(%)= 1株当たり配当金 ÷ 1株当たり純利益(EPS) × 100 となるため
12円÷376円(2024年通期予想)×100=3.19%
10-15%とは程遠い。
つまり、この内部留保の必要性が改善した場合、増配される期待ができる。
3.2%から10%にまで上げるとすると、3倍となる。現在の予想からすると12円→36円まで上げられる。
この増配が発表された場合、株価は当然上昇方向に作用する。
しかし、これも織り込まれていると考えるとどうか。
そう、このチャート。
この急騰、何のIRが出たのか。
日足でみると
2023/8/15
二日連続S高(ほぼ3連)。ホルダー歓喜。
そしてその後も上昇し3連S高時の価格を超えて今に至る。
会社HPより
8月14日、1Q決算発表および上方修正の発表
内容は
営業利益の予想6億円→13.5億円 そりゃ上げる。
その理由が、コロナ5類からの回復、そしてインバウンド。物流や原料高騰も含めて、この上方修正を行ったと。
これを、発表前に予想できたのかどうか検証してみたいが
スーパーや外食のにぎわいを見ていた自分としては、予想できたのではないだろうか。
ピーターリンチなら予想しただろう。
ただ、久世を知らない。自分の住んでいる地域には久世はない。
会社も注目したことがなく、気付きようがない。これは無理。
過去の四季報で気づけたのか?
2023年3集(青)を見てみたが、結論としてはあの頃の自分には無理だと感じた。
一応チェックはしていたみたいで、2025年の予想営業利益に赤丸がついている。
これを無視せずに、この予想がコロナ前よりも圧倒的に高いことに気づき、調べていたなら…
まあ後だしのifに意味はないが、これは非常にいい経験になった。
コロナ前より明らかに予想値が高いのに、株価はコロナ前と同程度だったのだ。
「物流拠点新設も視野」「投資再開」とポジティブワードがある一方、「償却費こなせない」「営業益反落」といったネガティヴワードもある。
ただここで「投資再開したから費用がかさんで営業益反落している」と考えられれば、営業益反落が問題ないことはわかる。
株価も多少上がっている程度で、EPSは2025年にはぶっちぎりで過去最高になる予想だ。この四季報の発売は6月16日。8月の決算短信の前に気づくことは、理論上はできたのだ。
理論上は…。
正直、知らない食材企業をここまで読み込まない。
つまり、四季報の読み方が甘い。四季報だけでわかる美味しいところなのに、拾いきれていない。
いい勉強になった。
EPSの伸びは必ずチェック、過去のEPSと比較。割安と感じたなら必ず調べる対象とする。
それでも、ここまでの上昇修正は予想できないだろうが…。この上方修正、本当に大丈夫なのか?
2月28日追記
増配(特別配当あり)でS高近くまで上昇
その翌日同じだけ下げた。この後どう動いていくのか要観察
4月13日 追記
3000円まで上げた後、一気に2000まで下げた。
PERは5.5。
10年平均PERは10。過去の数値からすると、半分という良好な数値。
ただし株価の上昇を伴っており、どうか。
2024年通期の予想は
売上650億円(前期比+15%)
営業17億円(前期比2倍)
経常17億円(+92%) 営業利益より良く、営業外収益があるようだ。
理由は。2023年の有価証券報告書をみると
営業外収益 受け取り事務手数料、その他。と。
無視してよいだろう。
インバウンドとはいえ、伸び方がすさまじい。
はいインバウンド特需、分析終了〜。とせず、考察してみる。
ちなみに、四季報だと大幅強気☺︎☺️(会社予想より+30%以上乖離がある)となっている。
久世は今期通期営業利益を17億円と予想しているが、四季報は23億と予想している。
純利益は久世が17.4億円、四季報が23.7億円。
あとは、来季はおそらく伸ばしていた設備投資で純利益が数億円減少する。
ポイントは
・現在インバウンド特需(コロナ回復+超円安)で、今後剥奪の可能性が非常に高い
・しかし現在も売上は実はそこまで増えておらず、営業利益が大幅に伸びている
2019年と2023年では、売上は2019年の方が上。しかし営業利益は2023年の方が6億円も高い。
何がそこまで売上営業利益率を高めたのか、PLチェック。有価証券報告書より
2019年
2023年
まず売上原価で大きく差がある。
2019年は19.8%
2023年は22.2%
原価が下がっている。卸売の原価ってなんだ?
人件費や運賃は別なので、単純に食材の値段だろう。
2024年は爆上がりしそうなのだが…?それでも営業利益の予想は高い。これは考察必要
そして大きいのが、2019年→2023年にかけての「運賃」の減少。
54億円→39億円
ここが過去の久世と違う。
15億円も違う。
原価については、食材の値上がりがあるが、メインターゲットの外食事業者が我々消費者に示す料金がすでに大きく値上がりしているので、卸売での損は出ない。消費者負担が浸透している。という構造か。
であれば、売上はもっと予想高く出そうな気もするが…
運賃については、2023年有価証券報告書より
リスクについて
2024年問題をどうするか。
ここはとくに記載なし
仕入れコスト⇧と、人手不足の不利がありつつも
DX化による利便性の向上を進め、物流費の抑制に努めた、と。
ストーリーを雑にまとめる
久世は食品卸売が利益の9割を占める、卸売企業である。
コロナ騒動が落ち着き外食産業の活性化により売上は回復し、集客はよい。
ウクライナ問題や円安から仕入れコストは増大したが、それを補うDXと大きな運賃抑制が効き、営業利益は大きく改善した。
運賃をあまりかけずに食材を店に届けるノウハウを構築した。
ただし、物流はフル稼働。これ以上の成長には、久世の取り扱う商品の拡大が必要となる。
また、インバウンドによる外国人旅行客が落ち着くと外食産業が取り扱う食材料も減り、今後の売上減少は免れない。が、円安がさらに進行し、旅行客はまだ途切れそうにない。
地域を人口減少が少なく外食産業が衰えにくい関東に集中させていることも奏効。
業績としては、売上の成長性は低いが、運送やDX化により営業利益率を改善している。
10年平均PERは10だが、通期予想通りにいくならばPERは5.5の株価である。
増配をしており、株主還元も意識している。12円だった配当が15円となるのは、2002年以来の22年ぶりとなる。
気になる点としては、今期通期売上が四季報と会社予想と同程度だが、営業利益においては四季報予想が会社予想よりも30%以上高いこと。燃料費高騰などで費用はかさむと思われるが、なぜ四季報はそこまで高くみつもるのかは不明。
結論として、PERの低さで保持は可能だが、短期で終わらせたい。来期の予想次第では損切りも覚悟の必要あり。(設備投資による純利益減少によりPER上がる可能性)
どうしてもインバウンド特需が強い懸念。