このタイトルをみてほしい。
「不機嫌は罪である」
わかる。
わかる……。
著者とタイトルを見た瞬間、即購入した。
この人の書く本は非常にわかりやすい。これまでも何冊か読んでいて、仕事術等においては非常に信頼できる。
その著者が「不機嫌は罪である」??
いいのか、そんな本書いてしまって。
私が信念として考えていたことを、齋藤孝が書いている。タイトルからズバッと言い切っている。
テンション上がって、即読み終えた。使えると思った箇所に線を引きつつ、飛ばし読みして1時間半くらい。
この本の内容だが、全く予想していなかったところで「瞑想」の話がガッツリ出てきて驚いた。上機嫌でいるために使える技術として、瞑想が紹介されていたのだ。それも、非常に重要という立ち位置で。
自分の考えを支持してくれる気持ち良い本だろうと思って買ったが、まさかの瞑想推しで、読んでいてテンションが上がった。
・瞑想
・心理的安全
この2つは私が今仕事をする上で最も重視している事で、その両方ともこの本で触れられていた。更にテンションが上がっていく私。
ここ最近1ヶ月の私は、仕事を始めてから過去に類をみないほど調子がいい。挨拶は意識していないのに勝手にハツラツしているし、仕事も以前と比較にならないほど能動的にできている。
こうなった原因としては「瞑想」による効果である可能性が非常に高いと考えている。瞑想を初めた時期と調子絶好調の時期が、完全に被るからだ。
また瞑想の話になってしまうのでこの辺にして、この本の使える点を書いていこう。
「もしかして道徳論を書かねばならないとすれば、私はあまたの義務の第一位に上機嫌を持ってくるだろう」哲学者アラン 『幸福論』
そう、上機嫌でいることは義務と言ってもいい。それも、あらゆることの中で優先度第一位だ。にもかかわらず、これができていない人のなんと多いことか。しかし、できていない人はできていない人なりの人間であり、できている人はできているなりの人間になっているように見える。
人から信頼されている人は多くの場合後者だし、家庭がうまくいっている人も後者だろう。不機嫌をまきちらす人がうまくやっているという話を私は知らない。
これはこの本を読む前からずっと思っていたことだが、エラい人も同じことを考えていたとは思っていなかった。読書が足りないな。古典レベルで言われていることは、人生で重要であることがほどんどだと本をよく読むすごい人達は言う。私は古典を要約したような自己啓発本なんかはよく読んでいたのでちょっとばかしレベルが低いのだが、たぶんそうだろうなと思う。古典読めという話だが、はい、そのうち読みます…
まあ、なんだ。やっぱり大事だよな、上機嫌でいること。
上機嫌でいたほうがいい、というレベルではない。上機嫌でいることは最低ラインの義務。不機嫌は罪なのだ。
タイトルにすべて詰まっている。ベストタイトルだなと思った。
ただ、その最低ラインの義務も、できている人があまりに少ないため、このラインが守れるだけで非常に価値のある存在になることができる。
本でも触れられるが、上機嫌でいることは性格でも理性でもない。技術であり、知的能力の1つだと、著者は述べている。
「職業としての上機嫌」を身につけることが大事だ。「職業として」というのは、ここでは「情熱、責任感、判断力をもってそれを行うよう求められるもの」という意味だ。
たとえば職場の後輩からみた場合、機嫌の良い上司ほど嬉しいものはない。
コミュニケーションは取りやすく、相談もしやすい。意見も言い合えるからイノベーションも生まれるし、あらゆる物事が良い方向へ進む。もちろん緊張感がある仕事や大事な場面ではヘラヘラしてはいけないが、そもそも上機嫌はヘラヘラすることではない。上機嫌でもいい緊張感は出せる。
上司としては、後輩の間違いを止めるためについ情報伝達手段として不機嫌を利用することもあるだろうが、その場合後輩は必要以上に重く受け止めてしまうことが多い。
更に、不機嫌は個人間での影響にとどまらない。「職場に不機嫌な人がいれば全体のパフォーマンスが下がる」ということも、組織心理学の見地から主張されている。
他人への不機嫌は情報伝達としてついやりがちだが、自分や他人に対して不機嫌がいかに損かを理解し、上機嫌を目指すほうが、はるかに有益である。
昔は不機嫌でいることが「威厳がある」とされていた節があるが、現代ではそれは通用しない。膨大なデータから分析された結果として「心理的安全」の重要性、それによる「生産性」への影響が、すでに報告されている。
スポーツの監督も、昔は「鬼監督」がもてはやされてたが、今はそうではない人が支持され、結果を出しているという。スポーツの事情は詳しくないのでわからないが、そうなのだろうとは思う。学習やパフォーマンス発揮において心理面の影響は重大であり、ベストを追っていくとそこへ行き着くのだろう。
あまり本の内容まとめになっていないので、以下箇条書きでまとめる
・機嫌は性格や理性ではなく、立派な技術のひとつである
・「職業としての上機嫌」を身につけよう
・上機嫌な職場は離職率が低くなり、仕事効率が上がる
・不機嫌を抑えて人に見せないというのも、職務の一つだ
・単に寝不足や空腹ゆえの不機嫌だった場合も、他人は斟酌してくれない
・あなたが上機嫌になれば、周りも上機嫌に変わっていく
・「上機嫌は人のためならず」
・叱るときこそユーモアを
・2012年にGoogleが生産性の高い職場を実現するための調査研究を行った結果、最も大事な要素が「心理的安全性」であると結論付けた
・現代は「給料はまあまあ高いけど不機嫌な職場」より「給料そこそこ安いけど上機嫌な職場」が求められる時代
・職場の不機嫌の芽を摘むような工夫、そういった居心地の良い環境づくりも上司の責務である(⇨自分の職場で何ができるか考えてみる)
・インターネットにより人間は24時間、他人の不機嫌にさらされるようになった
・気分を切り替えてリラックスできる究極の方法が、「呼吸」である
・「深い呼吸」を妨げる習慣が、「長時間のデスクワーク」と「スマホ」である
・上機嫌に見えるために重要なのは、「表情」と「声の張り」
・悩み相談を受けたとき「具体的な解決は置いておいて、とにかく明るく励ますほうがうまくいく」ということは知っておく(学生、後輩、家族とすべての人間関係で使える。重要)
・「相手にも上機嫌になってもらうぞ」という気持ち、姿勢が重要
・すべてに「一事が万事」思考する人は慎重なのではなく、単に知性を放棄しているだけ。不機嫌な人はどうしても「一時が万事」思考に陥りがちである
・上機嫌の特攻薬として「音楽」がある。「食」よりも手軽で即効性がある。
・「踊りだしそう」という感覚を身につける。その「踊りだしそう」の感覚で取り組む
・作業のときに「もはやこれは踊っている」と感じられれば、それは非常に上機嫌に、効率よく行われていることを意味する
・職場や勉強、家事など、日々人間がこなしていることについて「苦しい」という印象を持っていると思うが、日々「上機嫌の湯」に浸かっている人にとっては、それらはすべて「楽しいもの」に変わる
・上機嫌な人のしている心がけは「◯◯さんがやっているあれ、良さそうだな」と他人が参考にしだす可能性が高い
以下、この本を読んだことで行動に移せること。自分用メモ
◯職場の不機嫌の芽を摘むような工夫、そういった居心地の良い環境づくり、を具体的に
まず、不機嫌になりやすい場面を挙げる
①朝の振り分け(チーム全員)
②私の残業が多いとき(上司も自分も)
③患者の相談が必要な場面で相談していないとき(上司)
④上から長時間かかる仕事を振られたとき(自分)
①朝の振り分け(チーム全員)
もたもたすることがあると、指摘される。もたもたする原因はなんだろう。自分が当事者であるという意識が低いときは間違いなくそうだ。他の人が主導で進めている際も、自分主導でやるくらいの意識でいることが大事。それくらいはできる。
また、把握しておくべき情報をはっきりさせておく。
・新患の数、誰が休みか、外来の持ち患数(少ない人)を把握しておく
・進行が滞っている場面でその情報について自分から進んで発言する
②私の残業が多いとき
お金はいらない。いらないわけではないが、気持ちよく仕事ができるということの方がとても重要だ。残業であれこれ言われるより、言われずにいる方がQOLは上がる。残業を減らせないか、ということは常に意識して働きたい。退勤打刻が遅くなることが問題であり、ここを徹底すればあとは現時点であまり問題になっていない。つまり、退勤打刻と残業申請の空白時間が30分以上ないようにすれば良い。
・早めに退勤打刻をする(多少の残業時間の損は目をつぶっても余りある「快適」というメリットがある)
③患者相談
最近はできてきておりこのまま継続、と言いたいが、まだ不足している。
・相談したいと思った” その瞬間、その場 "で、患者をみる手を止めてでも「❑患者相談事項をまとめる ❑◯◯さんに患者相談」という2つのタスクを作って、勤務後に潰してから帰るようにする
④上から長時間かかる仕事を振られたとき
そのとき不機嫌を感じるはずなので、不機嫌は一切出さずに、上機嫌でいることを強く意識して対応する。
・不機嫌を一切出さずに、上機嫌で受ける。必要があれば他の上司に相談する
◯悩み相談を受けたとき「具体的な解決は置いておいて、とにかく明るく励ますほうがうまくいく」の具体例を考えてみる
・具体例より、まずは日常的に明るく上機嫌でいることを続けてみよう