結論から言ってしまおう。賃貸でいい。購入はしない。
さて、私は家を買うかどうか、悩んでいた。
いまのところ買っていない(買えない)が、今後買うかどうかの判断があまりに難しいと感じていた。
買うことで得られるメリットとしては
・賃貸とは別次元の自由が手に入ること
・長生きした場合に住まいに対する生涯のトータル出費が減る可能性があること
デメリットとしては
・超高額の長期の借金であり、頭金で払えないほど返済利子がつくこと
・なにかあったときに引っ越しができないこと
あたりが主なものだろう。
こんなのみんな悩むだろう。誰だって悩む。
「職場が変わったら?」
「やっかいな変人が近くにいたら?」
そう考えると気持ちは手軽に引っ越せる賃貸に傾く。
しかし誰かが囁く。
「早く買ったほうが、老後家賃払わなくていい分、お得だよ?」
「老後も家賃に6万も7万も払い続けるの?11万円の年金で?」
たしかにそうだ。お金についてちゃんと考えている人ほど、気持ちが揺れるだろう。しかも理想の自由な住まいが手に入る。デメリットなんでむしろないのでは?と…。
しかし、そんな単純なものか?引っ越せるからとか、お得だからとか、そんなことなのか?家を買うってのは…。
賃貸か購入か、そういう本を読んでも、メリットとデメリットしか教えてくれない。最終的な意思決定は、私がしなければいけないのだ。
賃貸か購入かというのは、もはや数千万円とその後60年を賭けたギャンブルだ。
先日「カイジ ファイナルゲーム」を観てきたが、ギャンブルというのは恐ろしいものだ。面白いか面白くないかわからないあの映画を1900円で観に行ったこと自体がギャンブルで私はそのギャンブルに負けたのだが、そんなレベルの話ではない。俳優の演技が良いだけの心理戦も論理戦もなにもなくカイジを騙る映画だった。
失敗すれば超高額の借金と我慢の生活が何十年も続くのだ。
…だめだ、踏み切れない。自由な生活に老後のお金の不安が減るというメリットはあまりに大きいのに、失敗したときのリスクも大きすぎて、決めることなんでできるわけがない…。そう、私はギャンブラーではないのだ。こんなギャンブル付き合ってられない。
そうやって思考放棄しかできなくなっていた私の目に不意に入ってきたのが、ちきりんの「賃貸か購入か判断基準はこの3つ 迷わず家を買うための基準、教えます」だった。
ちきりんといえば、自分の頭で考えるブロガーとして非常に有名な方だ。さぞしっかり考えて書いてくれているだろう…悩める私はこの本を即購入し、休日の朝に一気に読んだ。
結果…
私はいま、家を買う必要がない。
となった。
そう結論付けられた過程を、まとめていく。
ちきりんさんの言葉を、引用していこう。
「家を買うべき」といえる3条件
1.経済的に無理なく買える状況にある
2.賃貸では実現できない「買いたい積極的な理由」がある
3.ライフプランがある程度、固まっている
さて、どうだろう。1は当てはまらない。圧倒的に貯金が足りない。2も当てはまらない。ペットは飼いたいが奥さんが動物だめだ。3も当てはまらない。将来はドバイに住みたいと思っている。
なんと、全部当てはまらない。
この時点ですでに私には家を購入する資格がなさそうに思えてきた。決着が近そうだが、もう少しみていく。
1の「無理なく」というのは、災害に遭わない、離婚しない、家族が大きな病気にならない、仕事を失わない、これらのうちいくつかが起こっても大丈夫な状態です。
全然大丈夫じゃない。仕事は続けられそうだが、その他は全くわからない。
2の「積極的な理由」の有無、ここがもっとも大事な基準です。例えば、マンションを購入するとその維持コストは(我が家の場合)年間42.6万円、月額で3万5500円です。これがローン返済に加えて必要になるわけですから、「それだけのコストをかけても保有したい」という積極的な理由が求められます。
そうだったのか…家を買っても家賃(ローン)の他に月に35000円かかるのか…ローンが月6-7万で今の家賃と同じくらいなら買ったほうが圧倒的に得な気がしていたが、全然わかっていなかった…。
一戸建てを注文住宅として建てれば、賃貸に住むのとはまったく違うレベルの自由度が手に入ります。
それはわかる。
これが「家を保有すること」の最大の価値であり、反対に言えば、ここに価値を感じない人が家を買う必要はありません。
…。
……。
そうだよな…。
お金のことばっかり考えていたけど、最大の焦点はここなんだよな…。
さて、答えはもう出たようなものだ。
現時点で家にこだわりがあまりない(むしろミニマルに生活したい)私にとって、賃貸か購入かは大きな難題ではなかったのだ。
理由が何もないのに「家賃がもったいないから買う」とか「買ったほうが得だから買う」といった理由で家を買うのはお勧めしません。「得だから買う」というのは、バーゲン会場で買いものをする人のロジックです。彼らは「得だから買う」といいつつ、必要のないものを次々と買っていきます。
こんなの私が奥さんに散々言ってることなのに、こんな大事なところでわかってなかった。
本当に価値のあるお金の使い方とは、「特に欲しい理由はないが、得だから買う」のではなく、「すごく欲しい理由があるから、高くても買う」という形の買いものなのです。
ミニマリズムにも繋がる、私の好きな考え方。ここがしっくりくるから、このちきりんさんの考えに納得させられるのだろう。
家が欲しい理由に、他人が共感してくれる必要はありません。自分と自分の家族にとって「これを実現したいから家を買うしかない!」という理由があれば十分です。
完。
これで、ずっと賃貸でいいんだ、と、決着したいのだが、大事なことを1つ忘れている。
この「賃貸か購入か」の根本であり、解決したように思えていた問題。
「家賃を払いながら年金だけで生きていくことはできるの?」問題だ
結論としては、できる。(できそう)
ただし、年金だけでは無理だ。だから貯金が必要で、2000万円問題にも繋がってくる。
というわけで
賃貸派の人は仕事をやめて年金生活を始めるまでに、その後の賃貸分の貯金を貯めておくか、ここで即金で家を買えるだけの貯金をしておくことが必要となります。
となるわけだ。
ずっと家賃を払ってきたのに、定年時に新しく家を買うだけの貯金が貯まっている人なんているのか?と思ったが、
30代で家を買い65歳でローンを終えた人は、その35年の間にローンだけでなく、数度のリフォーム代を払っています。一方、賃貸派は不要なリフォーム代を貯めておくことができます。
という、リフォーム代や固定資産税等がかからない分を貯金していれば、年間40万×35年、単純計算で1400万円分は貯められることになる。老後2000万円で足りるかという話は置いておくとして、大きな足しになることは間違いない。
そして、老後の自宅購入について考えるときに重要なのだが以下の考えだ
年金生活が始まってから購入するなら小さな家でいいし、通勤しないので駅に近い必要もありません。つまり、仕事を辞めてから買う家の値段は、働き盛りに買う家より遥かに格安な物件で済むのです。
子供も独立して、穏やかに健康に楽しく暮らしたい人にとって、「家」というのはそこそこであればよく、今と同じ水準で考える必要はないのだ。当然、家賃は今より安く済むだろう。
家にお金をかけるよりは、美味しいものを食べたり、ちょっとした旅行など、楽しいことにお金を使ったほうが良い。
老後必要な貯金については別の記事でまとめるとして、いまのところは共働きしていれば老後は賃貸でも問題ないという結論は私の中で出た。
「賃貸か、購入か」という問題は、これで一応の決着だ。
◯まとめ
・共働きなら老後まで賃貸で大丈夫
・絶対に購入したい理由があって貯金に余裕があれば買えばいい