『疲れない』ようになるブログ

やってみて、どうだったかの記録

【株】アイロムグループ 2372 第3四半期決算から分析【買いと判断した理由】

四季報赤付箋、アイロムグループをみていく

 

事業内容

一言で言うと、新薬の治験をサポートする企業。

業績は、案件の大きさでブレる。大型案件受注すれば大きく伸長する一方、それがないと伸びが鈍化する。要注意。

 

 

PER 9.8 PBR 2.07 PBRのお徳感はない

四季報だとPER 7.0 

かなり違うが何が違うんだ?現時点のEPS使ってなくて予想PERか?

 

信用倍率 84.8倍!

出来高は1日5〜10万株程度 買残が100万株。決算で25万株くらい信用買が増えた。

これは売り圧力になるため調整に日柄が必要。

少し待って需要と供給バランスが整理されるのを待つのが吉。

 

それとチャートに癖があり、出来高とともに大きく上がる、下がるタイミングがちょうど6ヶ月。

日にちをみると決算短信のたびに大きく動いている。

そして信用買も増える、のか?

こんなの絶対期限あり信用取引したら終わる。数年、株価に大きく連動せずレンジで動いている。

買うなら現物または制度信用無期限で買って、下がっても日柄待てるようにしないと。

 

コロナワクチン関係は、ネイビーのグラフになる。

特需であり、今後は減るだろうが、もともと比率が小さく業績への影響は小さい。

主力のSMO(病院の治験サポート)、CRO(製薬会社のサポート)は伸長。

SMO、CROの成長がカギ。

特にSMOは利益率が非常に高い。

ここが伸びなくなるとストーリー的には手放す時。

 

最近のニュース

業績が上方修正されたのに第3四半期の減益に反応して?下げたらしい。

文字通り受け取ると、完全に狙い目。

上方修正というキラキラ情報を企業が教えてくれたのにもかかわらず、一時的な減益で投げる信用買い勢が多かったのか。上方修正も織り込んでいた?

 

このときの実績と決算短信の説明は以下の通り

この純利益が第2四半期 9.1億円 → 第3四半期 2.5億円の減益を嫌気した??

第1四半期が良すぎたか。

もともと純利益は安定していないため、よくわからない。

この減益は原価が上がったことによる影響はあるか?

1→2Qの売上48.5億円 

2→3Qの売上42.5億円 

 

1→2Qと比べると6億円下げて、営業利益で3.5億円差、経常で6億円差、そのまま純利益で6億円差となった。

 

それに加えて

コロナワクチン等の研究開発経費 1億円

海外事業の体制整備の経費 0.7億円

 

などがあるが、結局はP/Lからはとくに何もないように見える。

2→3Qの純利益6億円減少は単純に売り上げの差。

 

四季報によると香港販売開始とのことで、海外展開が本格始動、とある。

一時的すぎる、本当にこんなので投げたのか。

 

むしろ海外展開への期待であげてもいいくらい。

第4四半期で経常利益8億円となれば上方修正した通期予想達成となる。

Qごとの規則性はわからない。

 

セグメント別の記載

SMOは大型案件の進捗など順調で業績に大きく寄与。

このように大型案件の有無で大きく変動する銘柄は要注意。

(フロンティアインターナショナルでの失敗)

ただ、ちゃんと通期予想を出しているため、FIとは根本的に姿勢が違う。

 

新規試験の受託は堅調、海外企業からも新規に受託あり

海外事業は体制整備に費用がかかっていると。

 

 

投資CFチェック

 

通期のキャッシュフロー

安定していなくて、個人的に好きではない。

ただ、ここ5年は営業CFプラス、投資CFマイナス続いており、好き。

業績は安定してきてはいる。上場は2003年。

利益が出てそれを投資に使っている。いい循環に入っているように見える。

ただ、何の投資?上記の海外整備や施設造設ならとても良い。これは有価証券報告書でチェック。

CROで8.6億円の建物付属設備投資

金武町ホテルに係る建物、19億円投資。

治験施設は、オーストラリアと、千代田区のものもそうか?本社機能ってなに。

 

ホテルというのはこれのことだろう

CROとここで、合計27億円、投資CFと概ね一致。

従業員1?2?ホテル担当者として割り当てているということか。

あくまでホテルは売却というか、不動産事業的な感じなのか。

 

このホテル事業よくわからないが比率的には大きくはないが、小さすぎることもない。

このクリニックモールの開設に係るものと思われる。

 

そしてこれが重要

30億円で研究開発センターを新設。2022年12月には完了している予定だったが?どうなった?

ベクター製造施設とのことで、ウイルスの研究で使われるもののようだ。

iPS細胞絡みでの、規模拡大が期待されるのか。

ここの「先端医療」セグメントに関わる。

 

ウイルスベクターで検索してみた

これを新設したということは、この業務がうまくいくかどうかで今後の売上は大きく変わってくるか

 

先端医療事業は、コロナワクチンもあるが、再生医療研究支援がメインのようだ。

再生医療は今後も研究の市場は大きくなるだろう。

ほんとか?調べてみた。

経済産業省のデータによると、市場拡大はかなり大きいと予想されている。

市場規模としては期待OK。会社があるオーストラリアも結構多いのがポイント。

経済産業省のデータからこちらも抜粋

 

現在の売上の規模は

日本124億円、オーストラリア32億円 

日本80%、オーストラリア20%

 

 

営業益は過去最高

財務CFが+26億円と、結構ある。借入金チェック。

短期借入金は合計66億円程度。

長期が86億円。

自己資本比率は負債200億、純資産110億円なので33%くらい。

良くはないが、そこまで悪くもないだろう。

 

ROEROAに関しては最近は文句なしの数字。

ライバル企業よりも良好で、借入金も使いながら、十分な利益を出していると言える。

 

アイロム

シミック

売上利益率も、ROEROAも最近はアイロムが良好。

売上利益率グラフにすると面白そうだが

アイロムは2020年10%→2022年17%と成長してきている。23年予想は20%を超える。

シミックは2020年3.4%→2022年11%と成長、23年予想は5.2%としている。

 

アイロムが優勢。何が違うのか。これを調べるのが大事。

 

治験の大手、シミックをみていく。

 

続いて前臨床試験受託で首位の新日本科学

 

5月の通期決算短信より

ここはSMO(病院の手伝い)は行わず、CROが主力と。
売上239億円、利益は63億円。売上営業利益率は26.5%、高い。

今期は有価証券評価損13.6億円出しており、特別損失となり純利益が大きく減少した。これがなければ最高益だった。つまり本業は順調。

 

比較

アイロム 

 

シミック

 

新日本科学

アイロムは、成長率が売上<営業利益<純利益 と高くなりEPSは上昇。

新日本科学は、その逆となる。この違いは重要。

なぜこうなるのか。

新日本科学の4Q決算短信より

営業利益減少は、米国ナスダックに上場している連結子会社化の影響。

経常利益減少は、上記営業利益の減益に加えて、2022年にあった15億円の為替差益を2023年は見込んでいないことが要因と。

そして純利益は、この上記2つの為替差益、特別損益を除く場合、59.8億円となる予定。2022年の純利益に、やや満たない程度。

主力の業績は順調の予定と。

丁寧なIRで、とても好感がもてる。株価水準が適正以下であれば検討したいが、バリュー的にお得ではない。比較対処に留める。

 

 

ROEROA比較

アイロム

 

シミック

 

新日本科学

 

ここまでみて、ここ数年はアイロムの成長率が勝る。

ROEなど収益性はアイロム、新日本科学。

ただし、新日本科学はPER 20と、すでに評価されている。

が!純利益は特別損失などで大きく減少しており、これは一時的と考えると、今後純利益が回復した際に、株価が同じならPERはその分下げることになる。

ここから15%、PERを下げると21.5×0.85=18.2 妥当か。

 

割安感はなく、新日本科学は除外。

ただし、業績内容の比較としては強い企業なので、アイロムを購入したいなら調べる必要がある。

 

「SMO 治験 大手」で検索して出てきたHPでイメージをつかむ

(従業員数なので参考程度)

契約施設数はアイロム3位、シミックもしっかり大手。

 

アイロムをみていく

前年度の決算説明資料がわかりやすかったので抜粋

「大型案件」要注意

大型案件がなくなったとたんに、利益が激減する可能性がある。

特にSMOは主力セグメントなので、ここは次期かなり低めに見積もっておくほうが安全。

 

オーストラリアの業績成長が大きいと。日本との割合は80%と20%だったが。

ワンストップがよい。

 

研究費があるため、売上はあっても利益はマイナス。

特許が気になるが、専門的すぎてわからない。

あとはiPS細胞を化粧品に使ったものがあると。

まだ売上の比率としては大きくない分野。今後に期待。

 

クリニックモールは堅調らしい。売上10〜20億円、営業利益は2〜3億円。

純利益が10億円前後の企業でのこれは小さくはない。(むしろ思ったより大きかった)

売上の比率としては、小さめではあるが。

 

アイロムの、低迷していた2012年〜2016年になにがあったのか調べてみる。

それぞれの年の有価証券報告書を見るのがよいだろう。

それと、リスク大型案件があるかないかで業績が相当変わりそうだが、まずは有価証券報告書記載のものを把握する。

 

もし今後この成長率が続くようであれば(市場規模拡大にともなう治験需要増大、施設新設などあれば!)このPERは全然安い。まだ織り込まれていない。

ただし、景気悪化、リセッションに注意。米国、中国のバブルは弾けつつある。

追記:日経が2023年5月から絶好調、PBR1倍以下の企業数の多さ、バフェット効果か

 

アイロム月足

株価変動が非常に荒い。

2-3年で、一気に上げて、下げるのを繰り返している。

繰り返すことを期待はしてはいけないが、1500円まで下げて、3500円まで上げるのか?とちょっとした期待もしてしまう。上がる前提で予想はしてはいけないが。

業績が、今のところ過去最高益を更新し、来期も予想は良好で順調なのは安心材料、それでいてスッ高値ではないのが、安全域。

 

PBRは2倍だが、純資産はこんな感じ

利益剰余金は67億円。2022年の純利益は19億円。

不動産や製造業のように、固定資産だったり、販売するためのモノを棚卸資産としてたくさん持っているわけではない?ので、この企業の株価を資産で比べるのは難しい。のか?

 

と思ったが、先端医療のところにこんな記載

この「Ctyo Tune-iPS」というのが素晴らしいらしい。

特許をとっており、iPS細胞をたくさん作るためのキット

なるほど。そして市場規模拡大に合わせて売上も増えている。

 

順調そのものだが、第3Qでなぜ株価が下がったのだろう。

たぶん、期待が大きすぎたのではないか。1Qから異常なほどの絶好調スタート(大型案件効果)だった。

別にPER高いわけでもないし、業績見込みは悪くないので、今回の下落は株価が割安になっただけと思う。来期以降で売上が落ちればPERは上がってしまうが。

 

PER10倍が割安かどうかは今後の成長次第だが、成長期待できるので割安と言って良いだろう。景気的なリスクも織り込んでいるのだろうか。

新日本科学をみると、元気ではあるが。

 

あとはやはり、2012年〜2016年を調べないといけない。

2009年の最終益マイナス11.3億円をまず調べてみたが

当時の有価証券報告書より

借倒引当金が67.7億円!債務保証損失引当金11億円!

世界経済の低迷から、取引先が倒産したり、経営破綻しそうなときに計上されるものなので、そういうことが起きていたようだ。

このときの日経平均

なるほど、このとき日経平均7000円割っていたのか…。

ただ、売上は絶好調。

売上はすごいが、売上利益率は低い。

このあたりで、不採算事業を手放している。業務改善の結果が最近の業績につながっているのか。

 

最近はこう

 

このチャートをみると、2012年〜2016年も日経的にはかなり厳しい状況だったことが伺える。

2012年の有価証券報告書をみてみる

2011年は東日本大震災があった。医療費増加抑制政策などの影響が出たと。

2012年は特別損失での純利益低下だけでなく、営業利益がマイナスとなっている。

売上の減少が大きい。

 

京都大学の山本教授がiPS細胞でノーベル賞をとったのが2012年。

そこから数年して、iPS関連で売上がまた伸びてきたか?

 

 

さて、色々見てきたが、果たして魅力的だろうか。

SMOとCROは連続性がある。CROの治験も、新薬というのは病院が関わるので、そこでシナジーが起こるのは企業側としてもやりやすいだろう。

ここに、シミックや新日本科学にはない、大きな強みがあると見ている。

SMOとCROの相互作用。

 

ストーリをまとめる

この企業は、がんや難病などの治験をメインの業務としており、ここ数年売上やEPSが20%を超える成長が期待できる優良株であるが、景気に左右される市況関連株の要素も含む。

売上利益率やROEなどの利益性が高く、来季は売上、純利益、EPSも最高を更新する見込みとなっている一方で、ここ7年の平均PERが35程度である状況で、現PERは8倍と割安圏内であり、ライバルの新日本科学よりもEPSが高く、こちらはPER 20と評価されている。

シミック、新日本科学といったライバル企業と比べて売上規模は劣るが、病院治験(SMO)と製薬企業治験(CRO)とのシナジーがあり、他企業にはない強みがある。

主力セグメントであるSMOの売上利益率は50%と非常に高い数値である。

業績が順調であると見られる一方で、PERはここ10年以上で最も低い。(2022年までは1桁になったことがない)

短期的な注意点としては、信用倍率が100倍と高く、1日の出来高の10〜20倍程度信用買いが溜まっているため、日柄をおいて需給の整理が進むのを待つことが懸命と思われる。が、すでに買ってしまってよい価格と思われる。

治験の主戦場である再生医療、iPS細胞市場は今後大きく拡大していく見込みであり、治験の需要は大きく増えることが予想される。ただし、コロナ金融政策やITバブル崩壊のからの巨大なインフレによる景気後退には注意が必要である。一方、日経平均はバブル以降ついに最高値を更新し、これまでの割安さから海外からの買いが大きく生まれている。

治験市場の拡大の期待と世界的インフレによる景気後退(デフレ続きの日本のインフレは良い方向に向かう期待も)のリスクを天秤にかける必要があるが、iPS細胞研究が更に熱を帯びる現状、治験の需要が大きくなる可能性が高いと考える。

懸念としては、SMOに関わる大学病院は限りがあり、契約していない大学が残り少なくなるとSMOの成長が打ち止めとなることである。が、現時点ではその傾向はみられていない。

以上のような理由により、アイロムグループは今後も大きな成長が期待できる企業であり、PER 10倍は割安と判断できる。

 

結論:買ってもいい

保有銘柄を利確したり、ここよりも他に良い銘柄がなければ、乗り換える候補の一つ。

 

 

2023.6.4 追記

通期決算と次期予想が5月に出た。

アカデミアからの受託拡大とともに、”海外”製薬企業の日本国内開発における業務受託等、業務範囲拡大、とある。ips細胞の研究費が8.6億円かかったが、ips細胞培養の液を原液に使用した化粧品販売とOEM事業(他社ブランドの製品製造受託)で利益確保し、営業損失を抑えた。

SMO、CROの伸長により、二期連続過去最高益を更新。

 

PERは15〜30くらいを動いているが、2023年はPER 10を切り、なお下げ続けている。

過去最高益となったが株価は上がらず、PERは低下。

ここ6年では平均PER 20

 

これを踏まえた上で

 

●SMO事業(病院手助け)

アンメット・メディカル・ニーズ:治療法がない疾患に対する治療ニーズ

また、がんや難病だけでなく、プライマリー領域(総合医療:内科や外科など全般)での受託も推進しこの大型案件が大きく寄与した。

 

●CRO事業(製薬会社手助け)

海外の臨床試験や申請業務を新規受託。一方で海外事業の体制整備に費用がかかり営業利益は減少した。

⇨この体制整備は投資なので、今後海外事業が軌道に乗れば利益は拡大するもの。

 この海外事業の進捗は、決算ごとにチェックしていく。(記載があれば)

 

●先端医療

形を刻々と変えるCOVID−19のワクチンを研究する価値はあるのだろうか。免疫的には一緒なのかもしれない。詳しく調べる必要がある。

既知の厚生労働省のデータ捏造(接種日不明を未接種としてデータ発表など)などあり、これまでのコロナワクチンに関しては非常に懐疑的に見ている。

だからこそ国産の経鼻接種ワクチンに価値があるのか?

研究費から、2.7億円の営業損失が出ている。

これが成功する見込みで、来期の通期予想が出ているのだとしたら怖いが、これに関しては今後の見通しに記載あり後述。

 

●メディカルサポート事業

例の不動産事業、クリニックモール開設。ここで開業する医師に開業支援をしており、その後に臨床試験を紹介するというシナジー。1.2億円の営業利益であり、結構大きい。

うまくいっているようだ。

 

 

続いて、キャッシュフロー

有形固定資産、おそらくクリニックモールだろう。研究施設新設ではない。

メディカルサポートで19.7億円、これが大きい。

 

 

そして、今後の見通し

SMO:売上112億円、営業利益53億円 

CRO:売上63億円、営業利益0.5億円 オーストラリア事業拡大を

先端医療:売上22億円、営業利益0.2億円 センダイウイルスベクター

メディサポ:売上14億円、営業利益0.3億円 の見込み。

営業利益のほとんどがSMOで占める。

 

「各事業とも、現時点で契約しているもの、契約交渉が進んでいるもののうち、過去の経験上受注が見込める案件・材料をベースに見通しを立てている」

テキトーなIRではなく、適当なIR。安心感がある。

 

ウイルスベクターについては、勉強してもよくわからない。専門性が高すぎる。

なので収益性など、自分が理解できるところだけしっかり理解できればよいとする。

論文にはこうある

 

今後の業績拡大について

SMOが拡大するのに必要なこと

①がんセンターなどの専門医療機関や大学病院と提携数が増える

②研究数が増える

③単価が増える(値上げ)

 

①については、がんセンターや大学病院には限りがあり、いつか限界がくる。現在どの程度提携しているのか不明。海外事業の拡大で、市場拡大は見込めるかも知れない。が、まだ打ち止め感はない。決算ごとにチェックしていけば良いだろう。

 

②研究数は今後ますます伸びていくだろう。ここは市場が利益を後押ししている。がんや難病だけでなくプライマリな領域に拡大もしており、その分裾野は広がった。これは良い材料。下がるPERと業務内容が逆行している。良い傾向と考える。

 

③値上げについて、現時点であまり考えられないか。特に記載もない

 

○結論

ストーリーは順調