『疲れない』ようになるブログ

やってみて、どうだったかの記録

【割安株】山洋電気(6516)分析【冷却ファンとモーターの需要は伸びる】

決算は4/27、もうすぐ。

 

冷却ファン、サーボモーター(いわゆる、モーター)が主軸。

 

今後の成長余地としては、冷却ファン、モーターとも、世界のデジタル自動化、ロボット化による需要増が予想される。

パッと思ったことと、少し調べたことを合わせて予想されるストーリをまとめてみる。

 

○ストーリー(需要増大するか)予想

冷却ファンを考えるにあたり、”半導体”との関連を考える。今後も間違いなく需要増大していく”半導体”の冷却には、熱に敏感なエレクトロニクス製品用に設計された高効率高性能の冷却ファンが使用される。冷却ファンは、半導体の温度を下げ、デバイスの信頼性や性能を向上させるために重要。(ちなみに、iPhoneには冷却ファンはついていない)

半導体技術は今後も急速に進歩していくし、より高密度でより高速なチップが必要になる。半導体の機能を維持するための排熱は常に付きまとう問題であろうことから、冷却ファンの需要は増加すると予想される。EVもそうだし、レストランの料理配達ロボットもファンを使う。

そして、冷却ファンは”大規模なデータセンター”や人工知能、IoT、モバイルデバイスなどの用途にも使用され、とにかく需要が多様化していることから、今後も需要供給は拡大すると考えられる。

データーセンターについても、現状は半導体のメモリ分野は”コロナ”でパソコンやスマホなどが爆売れしたことから”一服”しているが、これは”一時的”なものであり、今後の半導体はメモリも再度増加に向かうだろう。

 

これらの理由で、冷却ファン、モーターの需要は増大すると考える。

 

これを踏まえた上で、山洋電気をみていく。

 

①冷却ファン、モーターの売上は実際に伸びているのか

 商品の比率は(ファン、モーターなど)

 どんな製品に対してのファン、モーターを作っているのか

②新製品の開発、研究などの投資の程度は

③日本、海外どこが主市場

③シェアはどの程度か

⑥業績、割安さはどうか。PL、BS、CFから詳しく。ライバル企業との比較も

 

調べていく。

 

①冷却ファン、モーターの売上は実際に伸びているのか

 商品の比率は(ファン、モーターなど)

 どんな製品に対してファン、モーターを作っているのか

 

まずは決算説明資料、決算短信有価証券報告書から

 

製品概要

冷却ファン、電力供給装置、モーターの3つが主要製品

 

製品の使われ方

病院、半導体製造工場、EV充電、発電所、携帯電話基地局など

病院でのPCR検査特需に注意。この利益は今後なくなるものと考える。

 

2023年3Qの決算説明資料より

 

サーボシステム  55.4%

冷却ファン 31.2%

電力供給装置     7.3%

 

コロナ渦の去年と比較して、ファンとモーターは大きく売上増。

 

モーターでは、半導体装置、搬送ロボットの需要が大幅増大。5G、リチウム電池製造設備投資での使用が増えた。

「搬送ロボット」、「リチウム電池」と、旬なワードが散りばめられる。この分野は2020年台のキーになると思われる。

冷却ファンでは、通信装置、サーバー、急速充電装置で大幅増大。

通信装置、急速充電器、サーバー、全てコロナ特需になるのか?特需なのか?

 

コロナ渦で売上は増大したのかと言われると、そうではない。

2020年、2021年は売上は落ちている。ただし、思ったよりも大きな減少ではない。

PCとか通信機器あたりは特需だったけど、なぜ売上落ちている?

設備投資の需要大幅減、フィリピン工場の休業などが主な要因と。

PCよりも設備投資系が強みということがわかる。

電化製品に使うファンやモーターというよりは、大きな工場向けの製品。

ここは他企業と区別したい。

 

そして2023年は過去最高益を余裕で達成する見込み。(円安に注意)

 

そんな絶好調の中、チャートはどうかというと

過去最高は2018年の10000円。

上記グラフ内の平均PERが14.5であり、現在は6.3

平均PERと比較した感じは、かなりの割安。ただ、売上は2000年で約500億円、2022年で1000億円と、2倍になるのに20年かけている。成長性は、思ったよりもかなり低い。よくこれで平均PER 15だったな、と思う。

パッと思いつく理由としては、ライバル企業が多いのが原因だろうか。

これは他社との比較こそが重要になりそう。

 

そして、売上も右肩上がりで順調ではなく、売上が下がる年も多い。この辺の理由も調べる必要がある。

私が思っているよりも、この企業の業績は良くない可能性もあることは念頭にいれておく。

 

2022年で大きく売上を伸ばした理由を調べよう。この成長が続くなら良い。後述。

なお、EPSは順調。続くかどうかがポイント。

 

2023年3Q資料より

値上げを行う。それでいい。

本格的な効果が、今月末の決算でわかる。

 

業績予想

 

 

②新製品の開発、研究などの投資の程度は

2021年は48億円の投資。自動化へも投資しているため、今後利益率が上がっていくことが期待される。

自動化への投資はこんな具合

開発について

新工場も増えている。

先月あたりに、長野上田市とフィリピンに新設され、稼働している頃だろう。

合計37億円。

 

最新(2023年3Q)の決算説明資料

 

 

増配。

 

投資ばかりで危なくないかチェック。自己資本比率はどうだろう。

50−60%と、良好資金面は問題なし

もう少し投資しても良さそうではある。

PBRは0.84。悪くない。

 

従業員数について

 

2021年と2022年の従業員数の変化比較

日本は、長野県上田市にほぼ全て工場がある。そこでの従業員数は、減少。

神川工場(モーター製造)  279人→217人(−22%)

富士山工場(冷却ファン、電源装置、アンプ?製造)379人→241人(−36%)

 

子会社の山洋電気テクノ・サービスは

586人→709人(+21%)

と、増員。

この子会社、何をやっているのかというと

こんな感じ。

校正、リペア、物流、自動車整備などなので、おそらく自動化が難しい「人」が必要なところに分配しているのではないか。

 

製品が増える→修理や輸送も増える→人が必要→増員

製品の製造→自動化が可能→工場の人は削減

 

工場での人件費が減る分、利益が増えるが、これは自動化が進んで人材不要となり、その他、人が必要なところに割り振っている。

 

前期の有価証券報告書より

受注が大幅増加し、従業員の給与を増やした。平均年収620万円。

運送費も増えたが、それらをこなし大幅増益。

工場の人手が減っても、受注増加に耐えられている。問題ないのだろう。

これは良いコスト削減として見てよいだろう。

 

と思ったが、2023年3Q決算説明資料をみると

と、ある。

注文は来ているが、生産が追いついていない状況のようだ。

人手というより、工場の生産量が限界、フル稼働でも足りていない。嬉しい悲鳴だが、機会損失となってしまっている。

納期が遅れており、対策として、工場のアップデートに投資。

間に合うのか。

後述するが、この需要が一服して在庫が余る、ということはなさそうである。

まだ工場への投資は増やしても良いのではと思う。需要に対して供給が間に合っていない。機会損失が大きい。生産性upは必須。

PBR1倍以下なので、生産性改善にまだまだ投資してほしい。

 

 

③日本、海外どこが主市場

日本がメイン、58%!

次いで東南アジア、20% 東アジア、10%

北米、9%

ヨーロッパ、3%、少ない。

まず日本でのシェア、売上増加が重要になる。

次いで東南アジア、東アジア、北米。

 

ちなみに、2022年より前で最も好調だった2015年時のセグメントは、こう

日本 70%

東南アジア 1.6%

 

現在は、東南アジアの比率が大きく伸びている。

2Q資料より

日本ではFA(ファクトリーオートメーション:工場自動化)の需要が強い。

東南アジアは、発展が大きいため食品や医療も拡大の余地が大きいのだろう。+30%!

 

 

③シェアはどの程度か

調べてみたが、不明。

価格も、よくわからない。

ライバル企業には、「ニデック」という企業があり、こちらは”車載”のモーターやファンが好調で、株価はすでに評価されすぎているくらい高い。PER 62 と、かなり割高。

決算説明資料を読んだが、M&Aを積極的にやっている。

自律成長+M&Aで業績の伸びが大きい。強い。

ただ、割安ではないので管轄外。

ここは決算説明資料の製品紹介もとても魅力的だ。

世界最小のモーター、これは売れるだろう。実際売れているようだ。

HDDが一服したことで売上が一時的に落ちているが、また戻してくるだろう。

そしてEV拡大に合わせて業績も伸ばすだろう。拡大すればだが。

EVはリチウム電池に必要なリチウムが不足し、チリが独占しようとしている動きもあり、動きが怪しくなってきている。

株価は、PER的にちょっと手が出せない…

平均PERの高さには納得。世界に誇れる日本企業のようだ。

 

山洋電気はどうなんだ。製品の魅力はHPを見てみよう。

 

冷却ファンの使用例 HPより

 

リバーシブルタイプ

サーバー向けなど

 

 

モーターの使用例 HPより

 

 

 

車載向けというのがない。

ファン、モーターともに静かさがウリのようだ。

モーターの小ささではニデックが圧勝。

スマホなど、超小型製品のニーズが増えると同時に、EVバッテリーや自動化設備など、大型製品のニーズも増大している。ニデックはどっちも強い。

 

今期2Qの資料より

産業用コンピューターでは静音ファンを使う。

製品には、業界トップの大風量、防水防塵機能付きというのもある。

通信基地局、急速充電などで使うようだ。

コロナ渦で伸びなかった、工場設備投資系の製品。

今後は自動化の波で、どんどん来るだろう。

 

2Qでは冷却ファンの伸びが大きかった

ファンは、EV充電器で使用される。今後伸びるだろう。

 

EV充電器についての、記事があった。

techcompass.sanyodenki.com

 

まとめると、

顧客からの要求

・屋外設置のため耐久性と信頼性が必要

・消費電力も大きいため、少しでも省エネしたい

・メンテナンスも大変なので、寿命も欲しい

山洋電気のファンなら叶うよ、という内容。

 

懸念としては、EV充電器が順調に普及してくれれば良いのだが。

チリの件が強い懸念材料。

 

ファンが好調の一方で、最大の比率であるサーボが低調。

 

いずれにしてもEV、半導体だ。

 

細かなところはこの分野の製品に詳しくないため、この程度しか把握できない。

静かなファンとモーターは、いいと思う。(小並感)

あのブゥーーン音がないのは、日常生活用品ではありがたい。

 

あとは、売れているか、売れるのかどうか、が重要だ。

企業用製品、日用家電、医療分野など、どの分野でよく売れているのか。

 

ファンは、通信装置(携帯やモデム、パソコンなど?)、サーバー、急速充電器向けの需要増加。半導体製造装置向けも伸びている。

パワーシステム(電源装置)は、官公庁(?)交通などの社会インフラ向け(電子パネルなどだろう)、半導体工場設備、製造装置向けが伸びた。

最も売上高比率の高いサーボシステム(モーターなど)は、半導体製造装置、ウェハ搬送ロボット向け需要大幅増。

 

ウェハ搬送ロボットというのは、こんなやつ

 

要は、半導体だ。

半導体製造過程で静かさがどれだけ重要かはわからないが、業界トップクラスの省エネ、そして長持ちするという信頼性は有用だろう。

そして振動が少ないというのは、ナノレベルの超精密部品を作るにあたって誤作動などを減らしてくれるのでは?ここにかなり強みがありそうだ。

半導体製造に詳しくないといけない。

 

というわけで、こんな本を買った。

半導体四季報でも最重要キーワードの一つとして、たくさん出てくるが、よくわからない。なのでこれを期にちょっと勉強しようと思った次第。

 

そして、今調べるとこんな本もあった。

今ほしいの、こっちじゃん。

 

とりあえず前者の方を読んでみたが、細かい工程がたくさんあることがわかった。

サーボシステムが、例えば工場のコンベアーなどで使われるが、ここは半導体製造に関わっている。高性能の証だろう。詳しくはわからないが、強みの証拠だと考える。

 

 

⑥業績、割安さはどうか。PL、BS、CFから詳しく

 ライバル企業との比較も

 

2022年のPLからみてみる

 

売上利益率 10%

EPS 744円 (来期966円へ増加予想)

EPS、大きく伸びる予定。

 

…これについて、たとえ伸びたあと伸び悩んで同じくらいで停滞したとしても、966円でしょ?

2021年の8000円のとき、EPS 400-500円で、PER 13くらい。

そこから株価は下がり続けて、PER 6まできた。

でも、EPSは過去最高の 966円を見込んでいる。

これは、過去のPER 13が高すぎたということか?

EPSが上がって、やっと妥当株価まできたと、そういうことなのか。

 

株価、これでいいのか?

工場の自動化、ロボット、半導体、この企業には追い風だろう。

半導体が不足して、半導体製造装置の不足までも招き、それが半導体そのものの不足を招く、という悪循環の現状があるが、そこから回復しつつあると考えると、来期は読めないが、今後はさらに需要が増えると考えてもよいだろう。

半導体産業のすべて」には、2023年後半から2024年度にかけては市況が大きく好転するだろうと予想されている。

また、EVなどの最先端の半導体が使用されるものは、もう少し先になるかもしれないとも。

 

楽天証券でのアナリスト予想では、2024年の売上伸びは鈍化、純利益は横ばいの予想。

四季報では売上は+16.7%、純利益+10%の予想。こうなれば上出来だろう。

為替の影響はどうだろう、と思ったが、売上比率は日本で大きいので、影響は少なそう。

 

第2Qの決算資料

と思ったが、為替の影響は、全然少なくない。

第1期+第2期分で、前期より+38億円となっている。

為替が+38億円となり、売上は前期比+91億円。そこに材料費が高騰して−54億円、結果、営業利益が66億円。

増えた売上のうち、41%が為替での利益だった。

 

材料費高騰には、値上げで対応。今は前年比+の要素が大きいか。

 

円安がこれ以上、異常に進行しないことを前提に考えた場合、今後、為替の分の利益は減っていくと考える。

そのため、前年比の数字にはそういう影響が出る。

それを踏まえて、決算ごとに数値を見る必要がある。

 

為替変動がとてもやっかいだが、ここまでの感じだと、数年先を見通して見た場合、割安なのでは?と思う。どの企業も値上げして対応している。製品が売れなくなることは考えにくい。受注残も多いので。

もう数年は為替で純利益が大きく変動する。前年比マイナスになる年もあるかもしれない。でも、その先は?中期的に見ると、製品の需要は増える一方と考えると…。

 

市場は追い風なのに、PERは低いまま。

もう少し、株価伸びても良いだろう。

 

そもそも低成長ではあり、PERは低くて妥当。

それでも、市場追い風の中、過去最高益、将来市場が狭まることもなさそう、と総合的に考えると、期待値はもっとあっても良さそうだが、どうだろう。

 

BS

流動比率流動資産と流動負債の割合)問題なし。流動資産>流動負債

 

流動資産の内訳

売掛金が228億円と大きく、現金ではないことは注意。

原材料も100億円あり、在庫リスクを考えるが、需要>>供給のため心配不要。

BS的には安全。

 

 

キャッシュ・フローについて

受注残高がすごい。納期間に合えば(納期は死守、と説明資料に記載あり)。

現状の需要の強さが表れている。

納期の遅れのリスクあり、ここは少し不安材料。

 

無形資産が、14億円ある。

調べてみると

研究開発費だった。

 

棚卸資産は2021年→2022年で44億円分多く仕入れている。

原材料費の高騰も影響しているか。

 

投資CFは、工場の分32億円、上記の研究費14億円

フリーCFしっかりある。

安定はしている。

 

 

○他企業との比較

ここまでのデータをみると、山洋電気は現在割安と考えられる。

更に他の企業と比較することで、その分野でどんな位置にいるのか、知ることができる。

冷却ファンと、サーボシステムを扱う上場企業を挙げてみる。

 

冷却ファン

オムロン (血圧計で有名、実は産業の自動化全般に強い)

ミネベアミツミ (極小ベアリングの世界シェア)

 

サーボシステム

安川電機 (サーボモーターとインバーターで世界トップ。産業用ロボも首位)

パナソニック (総合家電首位) 

三菱電機 (総合家電大手)

・ニデック (精密小型モーター大手。HDD用で世界首位。車載用など中大型にシフト。M&A積極的)

キーエンス (最強利益率 FA用センサーは強いが、モーターはそこまで種類ない)

・芝浦機械 

オムロン

 

こう見ると、気になるのは

冷却ファン  :ミネベアミツミオムロン

サーボシステム:ニデック、安川電機オムロン

それぞれ、みてみよう。

 

 

まずはミネベアミツミ

ベアリングの超有名企業。

 

2023年3Q決算説明資料

業績絶好調。

モーター事業はHDD市場調整あるがそれ以外は堅調、HDDは12月が底と。

 

このベアリング、山洋電気もここから調達してるのでは?

 

あとは、2月に自社株買もしていた。強気。いいね。

 

前期の有価証券報告書より

・データセンター向けのサーバー需要が堅調

・ファンモーター向けが好調(山洋電気も顧客?)

・車載向けも需要増。

・HDD用モーターなどが電子機器事業での主製品、3710億円の売上

モーターだけで3710億円×約70%=2600億円の売上がある。

また、おそらくだが山洋電気もここからベアリングを仕入れている。


モーターのジャンルが異なっている。山洋電気は、HDD用の小さなモーターは作っていない。

 

山洋電気は、産業用がメイン

よって、客は被らない。

 

ジャンルが違うので、単純に比較はできない。

山洋電気は、車載向けがないのが痛いとやはり感じる。参戦しないのか?

人命に関わる”車載部品”は、全て高性能なものが選ばれる。

高性能をうたうなら喜んで検討されるだろうに。難しいのだろうか。

車載向けを作るという発表があれば強烈な買いシグナルになるだろう。

…車載向け、作ってないよね?

 

業績は

最高益を更新するだろう。ROEROAは同程度

売上営業利益率は、最近は山洋電気が少し逆転した程度。

PER 13.9  PBR 1.651

割高感はないが、割安感もそこまでない。妥当、という感じ。

ベアリングなんて今後も自動化の波で伸びてきそうだが、すでに織り込まれているか。

 

過去最高益を更新しているが、株価は2021年後半が最高値。

この辺は折り込み済っぽい。

市場拡大に伴って業績は伸び続けると予想されるため、下がりはしなさそう。

じわじわ伸びてきそう。

 

個人的には、悪くないと思う。

詳しく調べていないが、市場や業績的に2000円を下回れば買っても良さそうに見える。

優良企業は株式市場にはたくさんある。

その中で大事なのは”割安さ”であり、このPERは、妥当なのだ。

よって、ミネベアミツミ山洋電気の魅力を比較すると、山洋電気が勝る。

 

 

続いて、オムロン

決算予定が26日、山洋電気の1日前。

ここの決算は参考になるだろう。チェック確定。

 

製品はこんな感じ

自動化に対しての製品がメイン。市場は似ている

モーターがある。ファンはどうだ?

 

今期3Q決算説明資料より

制御機器事業が高水準。4Qも好調に推移予想

 

業績絶好調。

なんだか、調べる企業どこもかしこも絶好調だな。

半導体、自動化系の企業はまさに右肩上がり。

 

制御機器、電子部品、モーターはどこに入るのか。

3Q決算短信より、制御機器は、設備投資とあるのでモーターなどはここに入るのだろう。

そして、製造業の設備投資動向は減速リスクと。本当にそうか!?

半導体製造装置は好調。二次電池(充電)向けも堅調。

 

気になるのは、設備投資動向の減速リスク。なぜ?

 

山洋電気の3Qの決算短信にはこう記載されている

冷却ファン:制御機器向けの需要増加

サーボシステム:設備投資増加(5G関連機器、リチウムイオン電池の製造のための設備)

電子機器:制御機器の販売増加

 

実際、受注残は増えている。

 

オムロンは、製造業の設備投資は減少傾向とのことであり

倉庫新設に伴う設備投資は停滞しているが、労働者不足から自動化投資は拡大と。

 

つまり、自動化の設備投資は増加しているが、通常の倉庫新設(自動化を伴わない倉庫拡大など?)は減っていると。

オムロンはそんな自動化を伴わない倉庫に何の製品を供給しているのか。

ちなみに、オムロンの制御機器の割合はとても高く、57%。

山洋電気のサーボシステムと同等。

 

 

 

物流に関しては、AI、5G、ロボット技術の獲得の加速、とある。

 

HPの製品をみると、こんな感じなので

自動化に関わる分野(まさにFAシステム、モーター、ロボットあたり)に注力し、一般的なスイッチとかは縮小、ということだろうか。

 

つまり、そんなモーターやFAシステムが使われる装置には半導体、強いては冷却ファンがついてくるわけであり、山洋電気の製品分野は、やはり拡大傾向であると思われる。縮小傾向ではないだろう。

 

製品の市場は一部被る、ライバル企業ではあるが、割安さはどうか

PER 23.3  PBR 2.12

すでに評価されている。

成長性は、低い。PERほどではない。割高。

 

ROEROAは悪くない、売上営業利益率は、最近は山洋電気と同程度。

 

チャートは

6000円だったのが、コロナで4000円前半まで下げて、その1年後9350円、さらに1年後には12000円まで高騰した。コロナと自動化は相性が良かったので、高騰したのか。詳しくは決算資料をみたいが、ひとまずこのときPER 35。成長率からみると、明らかに割高ではないか。

これらの数値からは、魅力は山洋電気>>オムロン

 

 

続いて、安川電機

 

過去最高益

4月7日に通期決算を出している!

売上+16%だったと。

 

モーションコントロールは4Qは減少。これは山洋電気も似た結果になる可能性がある

4Qの業績は予想未達になる可能性も考慮。

それでも安いとは思うが。短期の下げは想定しておいたほうが良いだろう。

 

安川電機の3Q時の予想は、以下の通りだった

据え置きで、結果は若干低い程度、ほぼあたっていた。

 

3Q決算短信では、山洋電気の予想は以下の通りだった

10月には通期予想を上方修正していた。

 

そして、安川電機翌年予想は売上+4.3%純利益は横ばい程度予想。これは参考になるが、なぜその予想になるのか。

 

まずは今期の決算について

製造業全般での自動化の設備投資が継続と

あとは、需要に対しての部品不足が改善されて売上に繋げられた。

 

モーターはモーションコントロールに入るので、前年+10%の中にある。

ロボットが+25%と大幅増収。

 

リチウム電池関連の設備投資が拡大傾向

物流・食品・農機なども、自動化への投資が活発化。

 

ロボットが売れている。

小さなロボであれば、放熱板や冷却液を使用することもあるが、高度な動きを求められるもの、常時稼働するものは冷却ファンを使用する。らしい。(Chat GPTより)

 

ここからも、山洋電気の市場は拡大傾向と捉えてよさそう。

 

そして、この来期予想の根拠は

ロボットの伸び予想が売上+9.5%、営業益+30%と、強い。

モーションコントロールも、売上+5.1%、営業益+7.8%と、良好の予想。

 

営業利益予想について

モーションコントロールは、為替で−3億円予想。

今よりも少し円高に戻ると予想しているのだろう。

モーションコントロールの売上は、26.5億円の予想なので、影響は−11%程度。

多少参考になる。

安川電気の海外売上の比率は国内18%なので、山洋電気よりも影響が大きい。

 

 

モーションコントロールの中のモーターの比率は

有価証券報告書には書いていなかった。

モーターとインバーターの比率が知りたい。

とりあえず、為替の影響は−11%と予想しておく。

 

資料にわかりやすいのがあった

米ドル、中国元の影響がかなり大きい。

これはどのみち、これは先が読めない。


そんな安川電機のチャートは

過去最高益を更新し、株価も過去最高高値に達したところ。

評価は、妥当。現在のPERも平均PERと同じくらい。

18年の6000円時はPER 38、21年時はPER 77だった。

コロナで2000円台まで下げて、その後1年で6000円まで上昇。

ここで買った人は、なんとツーバガーだった。

どうしても、成長率に対してPERが高く見える。

それだけ期待されているのか。

 

良い企業だが、評価されており割安感はなく

株の買いたさは、山洋電気>>安川電機

 

 

ここまでの比較について、出来高でみる人気のなさ

ニデック:200−300万株/1日

安川電機:100万株/1日

山洋電気:10−20万株/1日 (4/24は26400株だった)

 

いいね。人気ない株大好き。

 

 

比較する最後の企業は、ニデック

決算が24日に出ている

 

株探のニュースより

売上は上がったが、純利益が前期比70%減( -900億円)となった。

理由があるようだが、

構造改革費用 757億円を計上していたこと、所得税が750億円あったことが影響していると。

 

セグメントは

・精密小型モータ

・家電・商業・産業用

の2つがモーターが関わっている

 

製品の売上について知りたい。

 

決算補足資料より

これだ。

家電・商業・産業用が大きく伸びてきている。

 

精密小型モーターについて(車載とは別)

4Qのモーターの売上は、前期比 −12%。通期は横ばい。

 

ただし、この精密小型モーターについて

 

HDDの市場が一服していることもあり、HHD用は売上は低下している。

その他小型モーターは為替の利益が乗りつつ、+6.4%の微増。

 

ただし、このモーター、小型なので、山洋電気とジャンルが大きく異なっている

 

モーター、でかいのもあるな。

 

あとはスマホのバイブレーションやタッチ時の振動のあれも、モーターだ。

 

 

ちなみに、冷却グッズは、ファンではなく放熱板を扱っている。

 

製品はこんな感じ。



小型モーターについては、市場成長がピークアウトしていると記載あり(重要)

ニデックはそれに対して、省電力関連や、サーマルマネジメント(排熱管理)、車載向けモーターに注力と。

HDD市場は前年比3割以上減少、2023年も減少は避けられない見通し。

一方で、画像や動画の高容量化やメタバースなどの背景で、データ需要は拡大していくと考えられる。サーバー用途でのHDD需要は成長する見込み。

大規模データベースは需要あり、その排熱で冷却ファンが使用される。

山洋電気には追い風。

 

世界の電力使用量の約半分はモーターが占めているらしい(重要)

そして、世界的な省エネ・省電力化の流れ。

山洋電気の省エネファン、モーター。

 

 

ただ、山洋電気と近いのは、家電・商業・産業用のモーターになるか。

家電・商業・産業用のモーターの売上は発電機事業での増収が大きく、為替益1400億円を含めて+16.2%と。

営業利益は構造改革費用があるため参考にしない。

 

良さそう。

 

来期予想については

小型モーター全体の売上は落ちる予想だが

・サーマルマネジメント(冷却ファン)が成長

・HDD用モーターはデータセンター向けの需要拡大

山洋電気の得意分野が強そう

 

 

産業用などは、来期は売上は落ちる予想。

25年には上がる目標。

世界のカーボン・ニュートラルの流れは国策にもなっている。省エネ志向になるため、やはり追い風になってくれそうではあるが、どうか。

 

家電と商業を一緒にしているのが良くない。

コロナで家電(清浄機など)は爆売れしたが、商業は設備投資を控えたため、全く別の動きをしている。

 

と思ったら、良い資料があった

 

 

M&Aについて

オムロン三菱重工の子会社?を買収している…。

 

チャートをみていく

14000円だったころは、PER70と割高もいいところだった。

今は6600円、先日の決算後、また下げているようだ。地合も良くはない。

現在PER  23.3 PBR 2.84と、割安さは全くない。

V字回復を謳ってはいるが、それが可能そうかまでは調べる余裕ないので、スルー。

 

製品ラインナップ的には、今後はEVが頼みの綱という感じだ。

小型モーターは市場落ち着いてしまっている。

 

割高に感じるため、山洋電気>>>ニデック

 

○ストーリー

山洋電気は、冷却ファン、産業用モーターを扱う製品会社である。

成長性は20年で売上や純利益が2倍と低成長であるが、省エネや耐年数の優れた冷却ファン、高性能モーターのメイン市場である半導体、FA(工場自動化)、ロボット、大規模データーセンター、EV充電器の需要拡大が更に期待される状況であり、売上の成長が期待できる一方で、PER 6.3倍、PBR 0.84と、割安圏に放置されている。(ここ10年の平均PER 14.5)

競争企業には、オムロンミネベアミツミ安川電機、ニデックなどの企業が挙げられるが、いずれも株価は評価されており、割安感はない。ミネベアミツミは割高さはないが株価は妥当な印象であり、買いの対象としては、いずれも山洋電気が勝る。

懸念としては、売上の50%以上が日本であるが、現在の円安が為替利益を大きく生んでおり、この変動には注意が必要である。

 

 

○結論

買う価値あり