ランディックス分析の前に、インフレと不動産の大局観について、参考になる動画
インフレ加速で日本経済はこれからどうなる?
○不動産の今後の価格について(東京)
土地は供給が限られている。作れない。
なので、供給はデフレだけど価格は真っ先にインフレする。
価格が上がる前に買っておこうという心理が働いて、購買意欲に繋がる可能性がある。
金利の問題はあるが、銀行がローンで貸してくれて、かつ国民の(ランディックスの場合は富裕層向けではあるが)給料が上がっていくのであれば、追い風となり得る。
住宅ローンは金利政策であがり、銀行は貸したいだろう。
◯人手不足について
少子化→人材確保が大変→DX化
セクターによるが、運輸、建設は特に人材が少ない。(有効倍率 建築は10倍)
給料不足が影響。人手不足は、給料不足。
人がいきたい給料を出していない企業が多すぎる。
◯今後の日本の賃金について
全体的に物価上昇、製品の価格転嫁(値上げ)が生じているので、企業の売上は上がるだろう。
売上が上がれば企業はやっと給料を上げられる。
賃金はインフレと共にあがる可能性が高い。
ランディックスにとっては、金利上昇はローン上がるので購買意欲低下の可能性をはらむ。
一方で、インフレで不動産の価格も上昇することで「今買っておきたい」心理が働いて購買意欲は上昇する可能性もある。
金利的にも、上がる前に買わないと、という感じで購入が加速する可能性もある。
そうするとバブルみたいにローンレバレッジが膨らんで弾けるシナリオも出てくるが、まだそんな状況ではない。
東京は特に土地の価格が上がって、仕入れがさらに激戦、土地のインフレのタイミングの方が早いので、賃金上昇が反映されていない今は、粗利が減ってくる可能性。
短期的には不利。
1Q決算分析していく
まずは株価から
決算を受けて3600円から2900円へS安。
どんな決算だったのか?さぞ悪い決算だったのだろう。
前期1Q比
売上 +7.7%(1Qとしては過去最高)
営業 - 30.5%
経常 -31.4%
純利 -24.0%
数字からは成長鈍化の可能性を匂わせる。
売上は過去最高で、営業利益が大きく下がった。
粗利低下、物件を予定よりも安く売らざるを得なかったか、新人が増えて販管費が増大したか。
P/Lチェック
売上原価上昇、0.75%→0.78% そこまで大きな上昇ではない?
販管費増大、約1億円増。
これらは説明資料、noteで説明がある。
・労力(人手不足?)にコストがかかり予定していた物件が2Qに回った
→2Qに期待?労力なら2Qの分が3Qへ回る懸念も。
・ベテラン社員が販売に注力できなかった
→ベテランの営業という黄金資源が新卒教育に割かれた?個人的にはここが結構重要なんじゃないかと思っている。
新卒教育はコストがかかる。ベテランの営業時間を減らしてしまう意味でも、一時的に大きく戦力がダウンする。
・予定価格での販売が一部できなかった
・物件相場の上昇で粗利低下
→仕入れが激戦、インフレもあり土地は高騰、高値で買わざるを得ない、といった感じだろうか。これまでも激戦だったのは変わらないだろう。つまり、インフレの影響を受けている。最近の物価高騰をみると体感する。土地に関しては、もっと大きな変化が早い段階で起きていた。
土地を高く買って、高く売る必要がある。しかし土地はインフレしていても、買い手の給与はまだインフレしていない。
ただしこれに関しては、ランディックスのターゲットである富裕層はそこまで影響がないと思っていた。高いから買いたくない、ではなく高くてもいい場所、いい物件を買いたい層が相手だからだ。だからといって高い値段では買いたくないだろうし、その辺は多少(思ったよりも大きい)影響が出ているのかもしれない。
これについてもコメントあり
noteより
富裕層相手なので、この購買意欲に関しては安定している、と。
また、この比較となる前期1Qは高利益物件の寄与が大きかったとのことで、営業利益14.8%だったと。
この時がどんな状況だったかというと
エリア拡大がスタートしたあたり。
そして2Q
こんな感じで、非常に順調そうな印象であった。
ちなみにこれをみると前前期2Qは城南エリア外で9.52億円売り上げている。
今期1Qの3.4億円は、相当低い。
1Qは新人比率が高まるとはいえ、この数字をみるとこの1Q、城南エリア以外では全く営業できていない印象を受ける。城南は順調なのだ。
やはり新卒12名の教育がポイントになるか。
また、データ蓄積が少なく、安定しないということもあるか。
◯状況整理
新人が増えて、エリア内・外での営業数が増えて売上は伸びた。
が①販管費の増加に利益が圧迫。さらには②物件相場上昇で高値で買った物件を高値で売れずに粗利が低下した。
この①と②が一時的なものかどうかが、今後の鍵を握ると思われる。
①と②はある程度リンクする
新人の営業手腕はベテランよりも当然落ちる。回転率も落ちるし、単価も落ちる。
「人件費こなし増益」とはいかなかった。シンプルな製造業ではないので、短期的にはこういったことが起こりうる。
人材の増加については
昨年、今年と12人、15人と積極採用、そして来季も積極採用を予定。
無茶していないか?自信の表れ、ではないだろう。成長戦略として必要なのだろう。
見極めが大事だが、ここは攻めのタイミングと考えているようだ。
株主総会出たい質問したすぎる。そういえば担当者がtwitterでやりとりを良しとしているのだった。質問しよう。
エリア拡大に対応するには、営業数自体を増やす必要がある。
ただしその営業がうまくいけば、なのだ。今回はここで予想を大きく下回り、躓いた感がある。
ファスト思考ではマイナスで売りたくなるような内容だが、スロー思考ではその先を見る。
この新人が成長すれば?という視点。
当然、若手は育てば戦力となる。そして今回は新卒も多く採用し、ベテランの時間を割いて経験・教育に資源をつぎ込んだ。(と考える)
その分の今期1Qの成長性マイナス、つまり種まきの時期であると考えることができる。
新人のせいで業績が落ちた、なんてそのまま書くと当然士気が下がるため書かないだろう。新人が活躍できないのは当たり前であり、今後成長してくれれば良いだけだから。
ランディックス経営陣が1Qの前期比低下を大きな問題と捉えておらず、通期予想を変えなかったのは、そのあたりもあるのではないか。
成長パターンが通用していないのではなく、手応えがあるから据え置きとしている、と期待したい。(無理に社員扱き使って離職率上がるなんてことは起こりませんように)
では、新卒ではなくばりばり即戦力の新人であれば、こうはなっていなかったのか?
それも少し異なる気はするが、今回の数字よりは良いものが出てきた気がする。
そして物件相場の高騰は、業界全体の利益をおそらく今は圧迫しているだろう。
これが不動産企業の利益になるには、高くても買いたい層が増える、つまり日本経済の活性化、給料upが必要となる。が、何度も言うようにランディックスは富裕層向けなので、その影響は少ない方だろう。(ないわけではない)
つまり、物件相場の高騰はランディックスにとっては粗利を圧迫する大きな要因である一方、新人が育ってくる2-3年後は営業利益の改善が期待される。
また、拡大エリアでのデータ蓄積がまだ少ない(それでも前期は結果を出していた。だから今期1Qで大きな懸念が出ている)が、それが蓄積されることで城南エリア同様、クロスセルも生まれ、大きな売上の増加が期待できる。
ランディックスの核となるこのデータ戦略(成長エンジン)が破綻していないため、ぱっと見で株を売るのは早計。
再度状況整理。
営業利益低下の原因は
①ベテラン営業という資源が、新人の経験・教育に費やされて寄与できなかった
②物件相場が上がって粗利が下がった
この2点。
①は、今後高確率で改善してくる。まず営業数は増えるので売上は上がる。
問題は営業利益率だが、これは市況の影響も受けるが、これも①の影響で上がってくる可能性がある。
②に関しては、城南エリアでは好業績なので、これはエリア外がまだ安定していないためだろう。データ蓄積がされてくれば、安定してくると思われる。そういう事業モデル。
なので、この1Qの成長鈍化に見える数字は、改善されていく公算が高いと考える。
在庫はなんとか確保している。
ここがだめだと暗雲立ち込めてくるが、今回はそうではない。
予想PERは、通期予想が下がれば上がる。株価が下がっても突然PER10倍になることもあり得る。
が、それでも10倍。この城南の売上が順調かつ、城南エリア外でもデータ蓄積と新人の成長で業績が伸びてくる見込みだとして、これまでも安定した業績を上げていて、回転数の速さの強みがあり、富裕層向けで市況変化にも強いランディックスが、物価相場高騰と新人教育で営業利益低下した。
仮にこのまま通期を達成できず予想の80−90%となった場合、株価はその業績に対して割高になるか?
と考えると、このS安というのはどう見えるか。
その他、いろいろ分析したいがありすぎるのでひとまずさっとみていく
そしてここからの資料が秀逸
気になることはほぼ答えられている。
在庫回転数から見ると、通期達成も可能の見込みと、具体的に返答されている。
あまりに通期予想が高いので勘違いしてしまうが、予想を少し達成できなかったとしてもPERからみる成長性としては十分に高い水準にある。
また、城南エリア外では出店を計画。これはよさそう。
ネットでの成約が多い企業だが、口コミから店舗へ足を運ぶ客はいるだろう。
店舗があれば客の対応もしやすく購入に繋げやすそう。富裕層ではないので富裕層の行動がイメージできないが、不動産ははやり店舗があると安心するのではないか。
ここまでを踏まえて、今後どうなるか?と問うと
A:もう株価は上がらないだろう →売り
B:種まきの時期、成長投資 →買い
C:1Qだけだとわからないので様子見 →ステイ
Aだとは自分は全く思えず、BとCが当てはまるので、売りはしない。そこで売ってしまえば自分の中ではもはや投資ではない。
買い増しは悩むが、ここで買わないとこれまで読んできたバリュー投資の知識が無駄になる。
自分の知識は、バーゲン、一時的な悪材料だから買えと言っている。
市況の影響が一時的かどうかはわからないが、果たしてS安となるほどだろうか。
まわりがどんな価格でもいいから売りたい(まさに今回のS安)時に買い向かうのが良い、というのが自分の学んできたスタイルだ。
成功か失敗か、結果は数年後にわかるだろう。
一時的な悪材料なのか、尾を引く悪材料なのかは、まだ判断ができない。
まずは2Qの結果を見ていきたい。(2Qで結果が出るとは思っていない)
ちなみに、noteにはこんなことも書いてある。
プライム上場を目指し、PER12倍で中期目標達成できれば株価は8500円となる、と。
自分の中では、成長モデルは破綻していないため、期待している。
数年ホールドするのに、心強い記事だ。
この銘柄をホールドすることで生じる資金拘束は、拘束ではなく投資。
☑他の富裕層向け企業の短期決算を確認する
☑Twitterで質問する
追記 8/16
ランディックス松村さんに今回の決算について伺ったという記事より
粗利低下は、内部要因として若手が売上をとれるところまでいかなかったこと、エリア外での稼働効率が、エリア内のように行かなかったことが要因。
外部要因は不動産全体が土地価格と建材価格上昇でコストアップし、客の予算感についていけなかったこと。その結果、値引きをしているのが要因。
やはり、給与インフレが起こる前に土地のインフレが起きていることによるギャップもあるようだ。